映画を読む

ドイツ某都市にて勉強中です。「映画を読む」と題して、観た映画の感想や印象等を淡々と書いていこうと思っています。ネタバレに関しては最低限の配慮はしたいですが、踏み込んだ内容も書くと思うので、気にする方はご注意を。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

キングコングは倒れ、男は子猿とじゃれ合い、女は将来を見つめる(マルコ・フェレ―リ「バイバイ・モンキー」/Marco Ferreri "Ciao maschio" 1978年)

マルコ・フェレ―リ「バイバイ・モンキー/コーネリアスの夢」(Marco Ferreri "Ciao maschio" IT/FR 1978 113 Min. 35mm. イタリア語オリジナル+ドイツ語字幕版)を鑑賞。 あらすじ 舞台はニューヨーク、ロングアイランド。ダウンタウンでは人びとが大量発…

抽象的に描かれる戦争、追い立てられる個人(イングマール・ベルイマン「恥」/"Skammen" 1968年)

イングマール・ベルイマン「恥/ベルイマン監督の恥」(Ingmar Bergman "Skammen" SE 1968 103 Min. 35mm, オリジナル+英語字幕版)を鑑賞。 前回の記事でも書いた通り、ベルイマン生誕百周年特集で上映されていた。「フォーロー島三部作」の二作目。 あら…

ベルイマンの60年代後半の三部作における、逃れられない罪連関というモチーフについて

60年代後半の「フォーロー島三部作」 今年2018年の6月14日がイングマール・ベルイマン(Ingmar Bergman, 1918-2007)の生誕百周年ということだそうで、いつも通っている近所の映画館でもこの6月は彼の特集を組んでいる。前回記事を書いた「ペルソナ」もこの枠…

見つめる者と見つめられる者、眼差しを介した自他境界の溶解(イングマール・ベルイマン「仮面/ペルソナ」/Ingmar Bergman "Persona" 1966年)

イングマール・ベルイマン「仮面/ペルソナ」(Ingmar Bergman "Persona", SE 1966 85 Min. 35mm, オリジナル+英語字幕版)を鑑賞。 あらすじ ある日の舞台出演を境に一切の言葉を発さなくなってしまった女優エリザベートと、入院先で彼女の担当となった看…

理想化された身体的思い出としての、故郷(ヨーエ・マイ「帰郷」/Joe May "Heimkehr" 1928年)

ヨーエ・マイ「帰郷」(Joe May "Heimkehr" DE 1928, 126 Min. 35mm)を鑑賞。ピアノ伴奏つき。 あらすじ 戦争捕虜としてロシアで強制労働に従事するドイツ兵リヒャルトは、同室の友人カールに、いつも故郷のことを——とりわけ妻のアンナが待つ彼の家庭のこと…